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鈴木大介著・老人喰いを読んだ感想

鈴木大介著・老人喰いを読んだ感想

先日鈴木大介著・老人喰いを読みました。
ドラマの原作でもある老人喰いですが、この本を読んで特殊詐欺に対する見方が大きく変わりました。

この記事では、老人喰いを読んだ感想を書いて行きます。

・詐欺と分かっていてもお金を払う人がいる
・特殊詐欺グループは高度な訓練を受けたエリートばかり
・振り込め詐欺一件あたりの単価は200万
・日本には合法的な詐欺がたくさんある
・特殊詐欺の原因は世代間格差と頑張っても報われない社会

老人喰いはドラマの原作でもある振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺の実情を描いた作品です。
特殊詐欺の現状や特殊詐欺グループの成り立ちや育成方法、詐欺に関わる人物像等を物語と解説を交えて展開して行きます。

●詐欺と分かっていてもお金を払う人がいる

まず驚いたのは被害者は詐欺と確信している、または詐欺を疑っている場合でもお金を払ってしまうということです。
現在の振り込め詐欺グループは高度に組織化されていて、ターゲットの個人情報を良く調べた上で電話をかけてきます。

家族やその勤め先までバレているため、もしここで自分が断ったら家族が報復を受けるかもしれない、と考えます。
実際に犯人は警察につながる可能性のあることはしないため、家族が報復を受けるということはほぼ有りません。

ですが被害者は恐怖で判断が鈍っているため、お金を払ってしまうということです。

●振り込め詐欺一件あたりの単価は200万

振り込め詐欺の被害額は毎年増加しているため、一度にたくさんの被害に遭うのかと思いがちです。
ですが実際には振り込め詐欺一件あたりの単価は200万と、そこまで高額ではありません。

これが前述の、詐欺と確信していてもお金を払ってしまう理由でもあります。
家族の安全が守られるなら、引き換えに払っても良いと思える金額に設定してあるのです。

ただし一度お金を払った被害者は二回三回と続けて払いやすいため、狙い撃ちにされて被害額が大きくなることもあります。

●特殊詐欺グループは高度な訓練を受けたエリートばかり

特殊詐欺グループはただの犯罪者集団ではなく、高度に組織化されています。
非常に高レベルの研修を受けているため技術はもちろん、とても高いモチベーションで詐欺を仕事として誇りに思っているのです。

なぜこのような思考になるかというと、研修の中でお金を持っている人からお金を取るのは最悪の犯罪じゃないと洗脳されるからです。
この辺りの描写はとてもリアルに描かれていて、思わず納得してしまうほどです。

●日本には合法的な詐欺がたくさんある

詐欺への罪悪感をなくす洗脳として、日本には合法的な詐欺がたくさんあるという例えが出てきます。

・効くかどうか怪しい健康食品や化粧品
・宝石
・高額な教材で資格を取らせて仕事を紹介しない

これらの商売に騙されて借金を抱えて泣き寝入りしている人はたくさんいます。
なぜこれらが詐欺にならないかというと、実際に商品があり、任意で購入しているためです。

ですが研修では、合法的な詐欺と違法な詐欺の違いをこのように表現しています。

・貯蓄ゼロの人間を騙して無価値な物を200万円全額ローンで売る
・貯蓄2000万ある人間を騙して200万円奪う

詐欺は犯罪でも、最悪の犯罪ではない。

貯蓄ゼロの人にとって200万は大金だが、貯蓄2000万の人にとってはすぐに払える金額で本気の痛みはない。
老後のために必死に貯めたお金かもしれないし、貧乏な老人もいることも確か。

けれど数字は事実で、現代の高齢者の平均貯蓄額は2000万(不動産等含まず)。
日本の全貯蓄の6割を60歳以上が抱え、毎月平均18万の年金をもらい、4割は使い切れずにさらに貯金している。
最終的に使い切れずに残すお金は平均3000万。

これを見ると、洗脳される側の気持ちも理解できてしまいそうです。

●特殊詐欺の原因は世代間格差と頑張っても報われない社会

ほとんどの高齢者はお金を溜め込むだけで、使わない。
お金を使わないから経済が回らず、若い人間が働いても貧乏から抜け出せない。

だからお金のある所から社会にお金を回す手助けをしている。
そういうマインドで詐欺を働いているからとてもモチベーションが高いのです。

また現代は高度経済成長の時代と違い、頑張って仕事をしても給料は増えず、ずっと貧乏から抜け出せません。
特殊詐欺グループは高額な基本給と福利厚生にプラスして、歩合制で結果を出せばすぐに大きな現金が手に入ります。

この感覚に慣れてしまうと、やる気のない社員ばかりで成果を出しても給料は変わらないという一般企業での仕事はできなくなるといいます。
このように能力の高い人間が正当に評価されない社会にも、詐欺の原因があると述べています。

この辺りはかなり納得できました。
橘玲さんの「不都合な経済学」にも通じますが、必要悪な部分もあるのかなと感じます。

保険料の二重払いで話題のかんぽ生命問題も、高齢者から現役世代への富の移転という背景があるように思います。

●大学は詐欺

後編で実在の振り込め詐欺プレーヤーが4名紹介されています。
その中の1人が、「大学は詐欺じゃないんですか?」と言っていたのがとても印象的でした。

・大学の学費を親が全額負担するのは先進国では日本くらい
・日本の大学に子供を通わせて卒業させる必要はあまりない
・Fラン大学はキャンパスライフの夢を売るだけで卒業しても元が取れる仕事がない
・親が借金して子供を大学に入れるケースが大半なので、卒業後は親に学費や仕送りを返す人が多い

医者や弁護士など、特定の仕事に就くためには大学に行く必要がありまずが、大学必須の仕事はそれほど多くはありません。
それでも無理して大学に行く人が多いので、卒業後も奨学金や親への返済などでお金のない若者が増えています。

個人的には借金してまで大学に行く意味はあまりないと思います。

以前は大卒でないと就職が難しいなどと言われましたが、状況は変わってきています。
人手不足で新卒・中途共に高卒の求人が増えていて、今後もこれは続きそうです。

●まとめ

老人喰いを読んだ感想を紹介しました。

・詐欺と分かっていてもお金を払う人がいる
・特殊詐欺グループは高度な訓練を受けたエリートばかり
・振り込め詐欺一件あたりの単価は200万
・日本には合法的な詐欺がたくさんある
・特殊詐欺の原因は世代間格差と頑張っても報われない社会

とても読みやすく新たな発見もあり楽しめたので、気になる方はぜひチェックして下さい。

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保険の不必要性を説く保険屋。 未婚シングルマザーが実践する生活コストの減らし方を解説します! 節約・投資・保険・ミニマリストなどお金に関するお得な情報を発信中。