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鈴木亘著・経済学者、待機児童ゼロに挑むを読んだ感想

鈴木亘著・経済学者、待機児童ゼロに挑むを読んだ感想

先日鈴木亘著・経済学者、待機児童ゼロに挑むを読みました。
この本では待機児童問題の本当の原因と、小池百合子知事のブレーンとして東京都の待機児童対策を担当している著者がどのように改革を行なったかが書かれています。

一言で言うと、認可保育園の真っ黒な既得権益構造が赤裸々に語られています。

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待機児童の原因と問題点

・待機児童の原因は安すぎる保育料と、それによる過剰需要
・保育所を新設すれば解決できるが、新規参入が難しい
・認可保育園は税金で運営費や給料が保証されているので、経営努力をしない
・税金で運営費が賄われるため高コスト経営になる
・相続税がかからないので一族経営で内部留保が膨らむ
・規制緩和には既得権者が反対するので改革が進まない

●待機児童の原因は市場原理が働かないこと

現状のように保育料が安いと過剰な需要が発生します。
ですが保育園に入りたい人は多いのに、保育料の安い認可保育所の数は限られています。

結果、待機児童問題が深刻化するのです。

認可保育所は膨大な公費が必要になるため、なかなか新設されません。
また規制が厳しく、価格競争で勝てないため株式会社の参入も難しいです。

「なら規制を緩めて認可保育所を作りやすくすればいいんじゃないの?」と思いますがそれも難しいのです。
理由は、規制緩和や価格の自由化には現在のシステムで得をしている既得権者が反対するからです。

保育担当課は本音としてはこの過剰な公費投入や安すぎる保育料を是正したいと思っています。
ですが全国組織の保育団体や保育労連には刃向かうことができないのです。

●公立認可保育所の正保育士の年収は800万

保育士というと、給料が低いのに重労働というイメージがありますが、実際は違います。
公立認可保育所の正保育士は地方公務員なので、産業平均よりも高い年収をもらっているのです。

低賃金なのは、非正規や私立認可保育所に限った話なのです。
都内では公立認可保育所の正保育士の平均年収が800万に達している区もあり、これが運営費の増大につながっています。

●運営費が青天井なので高コスト経営になる

認可保育所が増えないのは、新設に多額の費用がかかるためでもあります。
保育所の経営は、現状の安すぎる保育料では成り立ちません。

そのため国や都道府県、自治体から、多額の公費(税金)が投入されています。
本来であれば利用料(売上)をもとに経費が決まります。

ですが認可保育所の経営には多額の公費が投入されるため、運営費がどんどん膨れ上がっているのです。
売上に関係なくコストを決められるので、経営努力をする必要がなくなります。

その結果、旧社会主義国の国営企業と同様、大変な高コスト構造に陥ります。

例えばただでさえ高給取りの公務員保育士ですが、多くの自治体で国の基準以上に配置されています。
職員が増えれば現場の負担が減り、仕事が楽になるからです。

●社会福祉法人は税制上とても優遇されている

認可保育所を運営しているのは8割が社会福祉法人です。
社会福祉法人には旨味がたくさんあります。

・土地さえあれば、建物代はほとんど公費(税金)で建てられる
・消費税、法人税、固定資産税など各種税金が免除される

ほぼ税金で事業を開始でき、運営費も税金で賄われ、利益が出ても税金がかからないのです。

また相続税もかからないため一族・家族経営の認可保育所が多いです。
溜め込んだ資産や利益をほぼ無税で相続させることができるからです。

このことが一族と一族外の保育士で待遇の格差を生みます。
利益の大部分は公費によるものですが、非正規職員や一族以外の職員には資産配分をせず、内部留保が溜まっていくのです。

このように、今どき珍しい左うちわ経営が可能なのです。
経営者側からすれば、こんな美味しい仕組みを手放したくないのは当然で、競争相手の増えるような改革に猛反対するのです。

ライバルが増えれば利用者に選ばれるために、サービスの向上やコストの削減など効率的な経営をせざるを得なくなります。

株式会社がどんどん新規参入し、効率的な経営をすると公費がなくても経営できることが証明されてしまいます。
非効率な家族経営では株式会社に勝てないのです。

●保育園利用者利用者も既得権

都市部の自治体では一人当たり面積や保育士の数が国の基準以上に配置されています。
さらに保育料が安い上、2019年11月からは無料になります。
これはすでに保育所を利用いている人にとって大変な利益です。

また保育団体や社会福祉法人は、官僚や自治体職員の天下り先で、現在の制度を維持することによって得をする人がたくさんいます。
このように制度の内側にいる人たちが全員得をしているため、改革が起きず待機児童問題も解決されないのです。

●既得権益を直撃しない改革案

このような状況の中、どのように改革を進めたのでしょうか?
結論から言うと、既得権益を直撃しない方法を選んだのです。

・認可保育所と無認可保育所の差額を埋めるための直接補助の創設・拡大
・育休を2年まで延長できるようにし、0、1歳児の待機児童を減らす
・保育所を増やす
・私立認可保育所・無認可保育所の保育士給料を、認可保育所と同じ水準に上げる

認可保育所と無認可保育所の差額を埋めるため、保育料を引き上げようとすると猛反対にあいます。
また制度を変えるのにも時間がかかります。
そのため株式会社への補助金や、無認可保育所利用者への差額の補助を進めることにしました。

保育所を増やすことで競争が働きやすくするのが狙いです。

小池百合子知事は選挙で保育関係者の世話になってないので、改革が進めやすかったということもあります。
既得権の意向を反故にできる強さがあったのです。

また過剰な内部留保は、特別養護老人ホームや障がい者施設を運営している社会福祉法人にもみられます。
厚生労働省にとっても目に余るということで、批判の声もあり介護報酬の適正化や情報公開の義務化など改革につながりました。

●改革後待機児童を減らすことに成功

この改革の結果、過去一年に都内に216の認可保育所を新設し、そのうち3分の2が株式会社。
待機児童の数も減らすことができました。

・認可と無認可の差額4万を補助。
・0歳児保育は毎月40万〜50万と運営費が高くつくため、家庭で見てもらうために2年まで延長できるようにした。
従来の一年半だと0歳のうちに保活を始めないと入園が難しいという背景があったため

2017年10月から育休が2年まで延長できるようになり、私自身もこの恩恵を受けたのですが、小池百合子知事の尽力によるものだと初めて知りました。

私立認可保育所・無認可保育所の保育士給料を、認可保育所と同じ水準に上げることもできました。
さらにきちんと賃金が上がっているか確認するため情報公開の仕組みを作り、確実な賃上げを担保しています。

これらの政策により実際に待機児童の数を減らすことで結果を出しているため、保育料も上げやすくなります。
今後は社会主義的な仕組みそのものを変えていくということです。

●まとめ

鈴木亘著・経済学者、待機児童ゼロに挑むを読んだ感想でした。
とてもわかりやすく書かれていて読みやすいので、気になる方はチェックしてみてください。

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