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クリーンミート培養肉が世界を変えるを読んだ感想

クリーンミート培養肉が世界を変えるを読んだ感想

この本を読んだきっかけは、先日読んだユヴァル・ノア・ハラリ著21LESSONSにクリーンミートについての記述があり、興味を持ったためです。
歴史学者であるハラリ先生はクリーンミートでも序文を書かれています。

この記事では、クリーンミート 培養肉が世界を変えるを読んだ感想を書きます。

・穀物、ワクチン、抗生物質は人間より家畜の消費量の方が多い
・食肉生産はとても効率が悪く、肉を食べることは大量の食料を捨てていることと同じ
・細胞を培養して作られるクリーンミートによって畜産業の抱える問題が解決できる
・細胞農業は肉だけでなく、レザー、鶏卵、牛乳、シーフード、フォアグラなど様々なタンパク質を生産可能
・早ければ2021年には食べられる

●穀物、ワクチン、抗生物質は人間より家畜の消費量の方が多い

畜産業はとても非効率だと知っていましたか?

畜産業の最も大きなコストは飼料代で、膨大な量の土地、水、肥料、石油などの資源が使われています。
世界中の農地の半分以上が家畜の飼料生産に使われているのです。

人間の口に直接入るのは、農産物の半分以下だということに驚きでした。

飼料代だけでもとても無駄が多いことがわかりますが、生き物を飼う以上衛生上の問題もあります。
感染症を防ぐための抗生物質やワクチンも、人間より家畜の方が多く消費しているのです。

抗生物質に耐性を持つ耐性菌が発生する原因も、畜産業にあると言われます。
アメリカ国内だけで、耐性菌による感染症により年間23,000人も死亡しています。

ワクチンや抗生物質を大量に使っても感染症を完全に防ぐことはできず、糞尿汚染の問題もあります。
さらに家畜は動物愛護法の対象外となるため、麻酔なしでの去勢など日常的な虐待が行われています。
そして食肉加工される際の苦しみという倫理的な問題もあります。

また畜産業は環境負荷もとても大きいです。
畜産業による温室効果ガスの排出は車、トラック、飛行機などの運輸業を合計したよりも大きいのです。

ここまで膨大なコストを払い、倫理的な問題に目をつぶってまで畜産業を続ける意味はあるのでしょうか?
それでも肉を食べることを我慢するのは難しいです。

そこで畜産業の抱える問題を全て解決して罪悪感なく肉を食べられるようになるのが、細胞から培養したクリーンミートなのです。

●増え続ける食肉需要を環境負荷なく満たすことができる

現在の畜産業は持続不可能ですが、肉を食べるのをやめるのは難しいです。
ベジタリアンやヴィーガンなども肉が嫌いなわけではないので、大豆タンパクから作られた植物性の代替え肉が大人気です。

インドやアフリカなどの発展途上国で収入が上がった人が最初にすることは食卓に肉を乗せることだとあります。
そして、一度上がった生活水準を下げることは難しいのです。

すでに毎日肉を食べることが習慣となっている人が、肉を食べるのをやめるのが難しいのも同じ理由です。

ですが現状の非効率で環境負荷の高い方法では、増え続ける人口に対して食料を供給し続けることは不可能と言われます。
そのため、細胞から直接作られたクリーンミートの必要性が高まっているのです。

●細胞から培養すれば必要な部分だけ作ることができる

細胞から直接肉だけを作ることができれば、骨格や脳や腸など、肉以外の不要な部分を省けます。

肉を食べるのは大量の食物を捨てているのと同じで、最も効率よく生産できる鶏肉でさえ、1キロカロリーの肉を得るために9キロカロリーの餌が必要です。
つまり鶏肉を育てて食べるのは、パスタ1皿を食べるためにパスタ9皿を別に用意してゴミ箱に捨てるのと同じということです。
これが牛肉であればさらに大きく23キロカロリー、クリーンミートならわずか3キロカロリーで作ることができます。

余分な部分を育てる必要がないので、大幅なコストカット、エネルギーの節約になります。
腸に生息する大腸菌やサルモネラ菌は発生しなくなり、無菌室で栽培できるため感染症の危険もなくなります。

このようにクリーンミートはコスト面でも安全面でも現在の畜産業よりはるかにメリットが大きいのです。

●細胞農業は肉だけでなく、レザー、鶏卵、牛乳、シーフード、フォアグラなど様々なタンパク質を生産可能

食品を細胞培養によって作り出す細胞農業は、医療用のヒト細胞培養の技術を基にしています。
人間の臓器は術後拒否反応が出ないように精密に作る必要があり、そこが一番難しいのですが、食用肉であればもっと簡単に作れます。

肉よりもっと簡単なのが、靴や衣類に使われるレザーや肥大化した肝臓であるフォアグラです。
細胞農業は卵や牛乳、シーフードなど様々なタンパク質を生成できるのです。

また栄養面でも細胞から培養できるので、動物の肉よりも高栄養価にすることができます。
飽和脂肪酸やコレステロールを減らして、アマニ油に含まれるオメガ3脂肪酸など体に良い油に変えることもできるのです。

●早ければ2021年にはクリーンミートを食べられる

現在様々な細胞農業のスタートアップが、コスト削減と商品化に向けて取り組んでいます。
政府の規制などの問題もありますが、うまくいけば2021年には一般でも買えるようになるそうです。

もうすぐそこの未来なんですね。
この本を読んで、個人的にはクリーンミートにはメリットしかないので早く現在の畜産業からシフトしてほしいなと思いました。

ですが一般的には培養肉に対する抵抗は大きく、そこが最大のハードルとなっています。
それでも、動物の肉とクリーンミートが同じ値段、同じ味になった場合は選択することができます。

動物の肉と培養肉の一番の違いは、培養肉の方が脂肪が少なくタンパク質が多いということです。
それ以外にも様々なメリットがあります。

・栄養価が高い
・安全性が高い
・地球環境への負荷が低い
・動物が苦しまない

同じ値段であれば、クリーンミートを選ぶ消費者の方が多いのではないでしょうか?

●畜産業を時代遅れにするのが目標

かつてヘンリー・フォードは馬を一匹残らず時代遅れにしました。
現代では移動に馬を使う人はいません。

セレモニーや趣味で馬に馬車を引かせたり、乗馬をする人も一部にはいますが、日常的な移動には車を使います。
同じようにクリーンミートは畜産業を時代遅れにするのが目標です。

実現すれば畜産業のほか農業、輸送業の一部など様々な仕事がなくなります。
そのため、これらの業界の反発も大きく困難な道のりとなるでしょう。

それでもクリーンミート開発に関わる人は信じています。
奴隷制度を歴史の汚点と誰もが振り返るように、いずれ畜産業もおぞましい記憶となると。

●まとめ

食肉に対する見方を大きく変える一冊でした。
畜産業がいずれなくなるなんて想像もつきませんが、冷蔵庫の歴史の記述に納得しました。

アナ雪の冒頭にもありましたよね、氷を切り出すシーンが。
冷蔵庫の登場で天然氷業界は廃業しました。

クリーンミートは時代を大きく変える可能性を持っています。
近未来が垣間見られてワクワクしたり、現状への問題意識が鮮明になったりと学びの多い一冊でした。

気になる方は是非チェックしてみてください。

私がクリーンミートに興味を持ったきっかけであるユヴァル・ノア・ハラリ著21LESSONSもオススメです。

こえふ
元保険屋でシングルマザー。最近はマスクの弊害を伝える漫画を書いてます。生活コストの減らし方、節約・投資・保険・ミニマリストなどお金に関するお得な情報を発信中。
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