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橘玲著「もっと言ってはいけない」を読んだ感想

橘玲著「もっと言ってはいけない」を読んだ感想

橘玲著「もっと言ってはいけない」を読んだので感想を書きます。

前作「行ってはいけない」は50万部突破のベストセラーだったそうですが、こちらはその続編です。

続編だと前作と同じ部分がそれなりにあるのでは?という心配もありましたが、大丈夫でした。私はこれが一番気になっていたのですが重複しているのはほんの一部でしたので、安心してください。

●日本人の特性について理解が深まる

「日本人とは?」というのが本書のテーマです。
遺伝子、脳科学、歴史など最近の研究で分かった事実をもとに展開されます。

前作に引き続き不都合な事実も包み隠さず書かれているので衝撃もありますが、読み物としても非常に面白いです。
子育てに悩む親や、生きづらさを感じている人たちにとってはその理由がわかり、考え方も変わるのではないでしょうか。

日本人は知能が高く、集団生活に向くように適応しています。
ですが不安を感じやすく環境を変えるのを嫌うため、会社や家庭に閉じ込められて苦しむ人が多いのです。

●知能に関する話がメイン

今回の本は、前作「行ってはいけない」よりも知能や遺伝に関する記述が膨大です。

知能の8割は遺伝で決まり、人種によってIQに違いがあることやその理由をわかりやすく解説しています。
日本人、韓国人、中国人などの東アジア人は他の人種よりも知能が高く真面目ということです。

また橘玲さんの本には可能な限りエビデンス(証拠)の出典を記してあるので安心して読めます。
これは、英語圏では一般書でもエビデンスを示さない主張は論議に値しないと無視されるためです。

日本ではトンデモ持論の本やネット情報が蔓延していると言うことですね。
やはり情報の取捨選択は大切です。

●日本人の3人に1人は日本語が理解できないが読解力は世界一

PIAACという先進国の知識社会に適応する能力を測るテストの結果をもとに解説しています。
それによると、日本人の3人に1人は日本語を読めず、パソコンを使った基本的な仕事ができる人は1割以下と言うことです。

それでも日本人は読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力がいずれも参加23ヶ国中1位です。
先進国の世界平均では成人の半分が簡単な文章を理解できず、パソコンを使った仕事ができるのは20人に1人だからです。

先進国でも知識社会に適応できるのは1割に満たないと言うのは驚きでした。
でも、これは意外でもなんでもなく当たり前だと言うのです。

進化というのは環境の圧力を受けて起こりますが、それには膨大な時間がかかります。
知識社会になったのは近代になってからなので、遺伝による進化のスピードが追いついていないということです。
知能は8割が遺伝で決まりますからね。

とても納得できますね。
これをもとに、日本人が成功するには?
という具体例も紹介されています。

●海外で活躍する東アジア人

日本人は高知能ですが、周りも同じように高知能集団なので努力しても報われにくいです。
そのため成功するには知能が低い国へ移れば成功しやすいと書かれています。

・アメリカでは東アジア人の年収が白人よりも25%も高い
・ドミニカへの日本人移民が成功した
・華僑財閥がタイ、インドネシア、マレーシアなどを経済的に支配している

ライバルが少ないところで戦う方が楽なのは分かりますが、それにはかなりの行動力が必要ですね…
変化を嫌う日本人にとって難しいのも頷けます。

●ゲイ遺伝子がなぜ自然選択で残ったか

この記述はとても面白かったです。

普通に考えれば、同性愛者が増えれば子孫が残せないので遺伝子の自然選択に反します。
それでも残っている理由は、「トータルでは子孫の数が増えるため」だというのです。

ゲイ遺伝子を持つと、男性から見て性的に魅力的になります。
そのため男性は同性愛者になり、同じ遺伝子を持つ女性は男性にモテるため、たくさん子供を産みます。

ということで、同性愛は魅力的な男女を作るという合理的な進化で、平均的な男女よりも多くの子孫を残せるということです。
遺伝子ってすごいですね・・・!

●人間は善と悪だけに区別するのが好き

ヒトの脳は部族対立に最適化されるように設計されているからです。

お互いに監視することで秩序維持コストを下げ、他人の道徳的な悪を罰することに快感を覚えます。
正義が娯楽ということで、勧善懲悪の物語が好まれるのはこのためですね。

●時々挟まれる歴史に関する話が面白い

・最初の大量破壊兵器は石槍で、武器の登場により秩序を維持することができるようになる
・農耕が始まると集団の中で自分勝手な人や獰猛な人は疎んじられ排除されていき、温厚な人が残った
・産業革命は単なる歴史の出来事ではなく、前と後で大きく世界が変わった
・1800年の寿命は30〜35歳。

人類の自然淘汰の流れがよくわかり、それで自分が存在するんだと思うと感慨深いですね。

またほんの200年前まで、旧石器時代と生活水準が変わらなかったというのは驚きでした。
200年前だともう私死んでるんだなと考えると、現代に生まれて良かったと思いました。

●まとめ

私たち日本人は高い知能を持っているけど不安感が強いということがわかりました。

それを踏まえた上でどう生きるのか?
ということを考えるきっかけになります。

私のように子育て中の親にとっては、そんなに気負わなくても良いんだなということが分かりホッとします。

橘玲さんの本は本当に分かりやすく面白く書かれているのでいつも楽しく読ませていただいてます。

知っておくと話のタネになるような驚きの事実や小ネタもたくさんあるので、読んでおいて損はないでしょう。
気になる方は是非チェックしてみてください。

こえふ
元保険屋でシングルマザー。最近はマスクの弊害を伝える漫画を書いてます。生活コストの減らし方、節約・投資・保険・ミニマリストなどお金に関するお得な情報を発信中。
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