教育費破産で退職金がなくなる危機を債務整理で回避した体験談
教育費のなかで最も高いのは大学の費用です。
子供1人で1000万、と言いますが半分は大学費用だからです。
最近は大学費用が高騰していて、大学生の子を持つ親は大変ですよね。
私の親もそうでした。
もちろん支払いができるのならした方が良いのですが、本当に苦しくなったら無理せずに借金を減額する道もあります。
この記事では実際に私の家族が教育費破産で債務整理をすることになった経緯を体験談としてまとめました。
同じように教育費などで借入がかさみ、返済が大変…と悩んでいる方の参考になればと思います。
●教育費で多重債務者になるまで
始まりは妹がイギリス留学へ行くことを希望したことです。
これからの時代、英語ができることや海外経験を積むことは大きなプラスになります。
イギリスの大学は3年制で、費用は総額1000万円です。
家のローンを払っている状況でかなり家計は厳しかったのですが、本人の強い意志とやる気を尊重して送り出すことにしました。
当時は学費の他に生活費として毎月10万円の仕送りをしていました。
本人も現地でアルバイトをしていましたが、寮費や食費などお金がかかります。
食品などの日用品は日本とあまり変わらないようですが、ロンドンに住んでいたため家賃は年間100万ほどかかっていました。
当時の父の年収は750万。
手取りは約600万です。
同年代の平均値よりは高めでしたが、支出も多かったのです。
学費プラス生活費で1000万というのは日本の大学でも自宅外通学をした場合同じくらいかかります。
日本の大学生の一人暮らしにかかる生活費は平均12万ということで、海外だからといって特別高かったという訳ではありません。
仕送りの平均額も7万ということで、これも平均を大きく上回るというほどでもありません。
しかし現実はあっという間に貯金はゼロ。
すぐに複数の資金業者から借入をし、多重債務者となってしまいました。
●大学生の親の赤字家計
当時の1ヶ月の手取り50万に対し支出は以下の通りです。
家のローン8万
仕送り10万
保険8万
光熱費3万
食費10万
通信費3万
病院薬代2万
と、必ずかかる分だけで44万になります。
学費はほぼ全てフルローンで払っている状況です。
「多くの場合、収入が増えても請求書が増えるだけである」
と、有名なお金持ち本「金持ち父さん貧乏父さん」にありましたが、まさにその通りだなと痛感しました。
奨学金、銀行ローン、カードローン、共済組合の貸付金などあらゆるところから借りていました。
それでも毎月火の車で、クレジットカードで金券を買ってすぐに売り、現金を作ったりしていたそうです。
完全に自転車操業で、あとで聞いて愕然としました…
●教育費高騰に苦しむ大学生の親は多い
このような状態が続いたものですから、精神的肉体的ストレスは大変なものだったでしょう。
「合格した!と喜んでいる顔を見たら、行くのをやめろとは言えなかった…」
という親心をあとで聞きました。
どの親も子供の大学進学を支えるのはとても大変なことです。
私立大学に通っていた友人も、それまで専業主婦だった母親が学費のためにパートを始めたと言っていました。
大学無償化が2020年から始まりますが、支援の対象となるのは年収380万円までの世帯です。
大学生の親である40代〜50代の平均年収が450万〜650万のため、ほとんどの世帯は対象外となります。
教育費が高いのは、大学費用の高騰と親の年収低下が原因です。
そのため私の親のように、教育費に苦しむ家庭は今後も増えそうです。
●退職を決意したのが転機
ずっと自転車操業が続き心身共に疲れ果て、もう楽になりたいと思ったようです。
父は退職金で借金を全額返済し、50代で第二の人生をスタートする決意をしました。
でも私は反対しました。
「退職金は老後の大切な生活費なんだから、手をつけちゃダメ!」
父が上司に相談すると、弁護士に相談するように勧められました。
そして弁護士に相談した結果、個人再生をすることになったのです。
個人再生とは債務整理の一つで借金を5分の1に圧縮し、減額された債務を3年〜5年の期間で支払うという手続きです。
圧縮率は借入総額に合わせて法律で定められていて約80%がカットされるのが一般的です。
そんな手段があることを、私も初めて知りました。
それにより、借金は300万まで圧縮することができました。
もうどうしようもないと、最後の砦である退職金を差し出さずに済んだのです。
知恵のある上司で良かったなと本当に思いました。
ちなみに借金総額は、本人も分からないほど膨大になっていたのですが弁護士に計算してもらったところなんと1700万にまで膨れ上がっていました!
ローンの金利って、怖いですね…
幸いにも弁護士に相談した結果個人再生の手続きができそうでした。
ただこれで一安心かと思いきや、まだまだ問題は山積みだったのです…
●家族全員債務者
実は父は勝手に母の名義でお金を借りていました。
そのため圧縮されるのは父名義の借金だけで、母名義の分はそのまま残ります。
幸いにもこちらはそれほど大きな金額ではなかったため、家を売ったお金を当てて完済することができました。
また妹本人の名義で借りている奨学金もいくつかあり、その総額600万はそのまま残ることになりました。
毎月2万ずつ給料の中から返済していますが、これはもう仕方ないですね…
社会人スタートと同時に借金を背負う、というのは日本の大学生に多い問題です。
2020年から始まる大学無償化も、ほとんどの世帯は年収が高くて対象にならないため更なる制度改革が望まれます。
●200万が払えず自宅を手放すことに
通常個人再生であれば自宅を残すことができるのですが、これにも問題がありました。
自宅が担保になっている銀行ローンがあったのです。
借入金と金利合計200万を一括返済できなければ自宅を売却しないといけない、ということです。
たった200万払えないために自宅を手放す選択を迫られますが、すでに貯金もなく、頼れる身内もなく売却することになりました。
「最初は600万で出して売れなければ下げましょう」
「問い合わせが5件来れば決まりますよ」
と不動産屋に言われ、ネットにも掲載して売りに出したらすぐに600万で売却できました。
そこから200万は銀行への返済に当て、400万は手元に残りました。
●手続後も家計簿の提出が続く
債務整理の申立時には支払い能力がないことを証明するために家計簿の提出が必要になります。
場合によっては申立後も民生委員の判断で継続して提出が求められます。
実家では現在でも毎月の家計簿を提出しているので、厳正に家計が管理されているということですね。
私自身も経験がありますが、家計簿をつけるだけでも意識が代わり、節約を心がけるようになるものです。
実家でも手続きまでは家計簿をつけていなかったのですが、記録してみると毎月食費に10万以上使ってることが分かりました。
3人家族の食費平均は約7万なので、オーバーしています。
ただ現在は作り置きを活用したり節約を心がけることで、5万になっているとか。
私も見習わないといけないですね…
簡単に食費節約するための3つのポイント
●債務整理せずに退職してたら人生詰みだった
最初は退職は避けることができたのですが、結局居づらくなって退職しました。
圧縮された借金の一部は、勤め先の共済組合から借りていたお金だったからです。
手続きの際にも、
「市の職員で債務整理するのは前例がない」
と担当者に言われたそうです。
通常なら年齢が上がると現場に出なくて良いデスクワーク中心になり、昇進するのですがその道も閉ざされました。
共済組合の借金は退職金で相殺しましたが、それでも1300万ほど残りました。
しかし借金増額は1700万だったため、債務整理せずに退職していたら借金完済もできず、退職金も残らなかったということになります。
本当に、弁護士に相談して良かったと心底思いました。
また手元に残った退職金についても弁護士によると経験上、多重債務者は大きなお金が入ると使ってしまうため、必要な時まで預かっておく専用の口座があるらしくそこにお世話になることになりました。
本当に良かったと私は安心し、胸を撫でおろしました。
●個人再生で人生が変わった
個人再生体験談を見ていると300万の借金を100万にできたとか、500万を100万にできたとかの話が多いですが、
うちの場合は総額1700万で圧縮しても300万なので桁が違いますね…
お恥ずかしい限りですが、教育費が払えなくて破産する人も増えています。
同じように悩んでいる方の参考になればと思い、記事にさせていただきました。
父は転職しましたが、今では精神的に解放されて生き生きと働いています。
また債務整理すると一年位は口座にお金があるといけないそうです。
ですが毎月の生活費と弁護士費用でしばらくは口座にお金のない状態が続くため
こちらはあまり問題なさそうです。
足りなくなることがないように気をつけないといけませんが、毎月家計簿を提出して専門家に管理されているため大丈夫でしょう。
●個人再生する条件とメリットデメリット
条件
・定期収入があり、減額された借金を3〜5年で返済できること
・借金総額が5000万円以下であること
メリット
・借金を5分の1に圧縮できる
・住宅ローンが残っていても自宅を手放さずに手続きできる
・保証人でない限り家族がローンを組めなくなることはない
デメリット
・信用情報に記録されるため、5〜10年は新たな借入やクレジットカードの発行ができなくなる
・官報という国が発行する機関紙に住所氏名が載る
●会社に知られず債務整理するには
個人再生をすると官報という国の情報誌に名前と住所が載ってしまいます。
ですが一般の型で官報を読んでいる人はほぼ居ないので、個人再生したからといって会社や知人に知られる心配はありません。
ただし今回のように会社から借りている場合は知られてしまうのでその点は注意しましょう。
●弁護士相談は誰でも無料でできる
教育費や住宅ローンなど、借金の返済に悩んでいる方は一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
私の親のように、最後の砦である退職金に手をつけずに済むかもしれません。
「そうは言っても、弁護士への相談ってお金かかるんじゃないの?」
と思われるかもしれませんが、安心してください。
弁護士法人イストワールならネットでフォームに入力するだけで弁護士に無料相談ができます。
子供の教育費のためであっても、毎月の返済に終われて生活を切り詰めるのは辛いことです。
今回の体験談は1700万という高額の借金でしたが、100万程度の借金でも個人再生は可能です。
借金の返済に悩んでいる方は一度相談してみてください。
これからの生活に、希望が見いだせるかもしれません。
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