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相続放棄で死亡保険金の非課税枠は使えなくても税金はかからない理由

相続放棄で死亡保険金の非課税枠は使えなくても税金はかからない理由

先日教育費破産で退職金がなくなる危機を債務整理で回避した体験談を書きました。
ですが手続きに時間がかかり、開始から約2年経つのですがまだ完了していません。

そんな中、母が「手続きが終わる前に死んだら借金が残るから心配で仕方ない」と言います。
ですがもし個人再生手続きが完了する前に亡くなっても相続放棄すれば借金を背負うことはありません。

「相続放棄すると保険金も受け取れないでしょ?」
と心配するのですが、生命保険金は受取人の固有の財産のため受け取ることができます。

「でも、保険金にかかる税金高いんでしょ?」
と言いますが、生命保険金には非課税枠があるのでそんなに高額にはならないと伝えました。

ですが、よく調べると相続放棄すると非課税枠の計算の仕方が変わるようです。
相続放棄することで相続人でなくなるためです。

個人再生などの手続き中の人は不安がたくさんあるんだなあと実感しました。
ですが相続放棄すれば借金は受け継がなくて良いし、保険金も受け取ることができます。

この記事では、相続放棄と死亡保険金の税金について解説します。

・相続放棄することで借金を背負うことはなくなるが、プラスの財産も受け取れなくなる
・賃貸の場合は再契約、持ち家の場合は限定承認で先買権を行使できれば残せる
・相続放棄しても死亡保険金は受け取れるが3600万以内なら非課税

●相続放棄すれば借金は背負わないが、プラスの財産も受け取れなくなる

借金がある状態で亡くなると、借金の返済義務も相続されます。
ですが相続放棄をすることで借金を引き継ぐことはなくなります。

ただし相続放棄すると、預貯金や家など、プラスの財産も引き継ぐことができなくなってしまいます。
母の場合は賃貸なのでもし手続き完了前に死亡したとしても、相続放棄すれば借金を背負うことは無くなります。

相続放棄する際には預貯金の金額と借金、死亡保険金の金額を天秤にかけることになります。

注意点としては連帯保証人になっている場合です。
連帯保証人になっている分の借金は代わりに返済する義務を負うので、相続放棄してもそのまま残ります。

●賃貸の場合は再契約、持ち家の場合は限定承認で先買権を行使できれば残せる

亡くなった人名義の賃貸の場合、貸主と新たに賃貸借契約を結べば住み続けることができます。
貸主としては住み続けてもらった方がありがたいので、支払い能力さえあれば問題なさそうです。

持ち家で家を残したい場合は限定承認といって、プラスの財産の範囲内で相続する方法があります。
限定承認するとプラスの財産である自宅は競売にかけられますが、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価にしたがって、その評価額を支払った時には、競売手続きを止めることができます。

この権利を、先買権と言います。
ただし不動産の価額だけでなく、鑑定人の報酬なども発生するため、先買権が行使できるのは十分な資金がある場合に限られます。

持ち家の場合は評価額が高いと残すことは難しそうですが、築古物件なら可能性は上がりますね。

●相続放棄しても死亡保険金は受け取れるが3600万以内なら非課税

相続放棄した場合、生命保険の死亡保険金も受け取れないのではと思われるかもしれません。
ですが、保険金は受取人の固有の財産となるため相続放棄しても死亡保険金は受け取ることができます。

生命保険金はみなし相続財産として相続税の対象となります。
死亡保険金は法定相続人×500万円の生命保険の非課税枠が使えますが、相続放棄すると相続人とはみなされないので非課税の適用は受けることができません。

ですが相続税の基礎控除の適用されます。
相続税の基礎控除は3000万円+600万円×法定相続人の数です。

法定相続人になれるのは第3順までの親族です。
生命保険文化センターの資料です。

我が家の場合は母と子供3人が法定相続人となるため3000万円+600万円×4人=5400万円
となり、5400万円以内なら非課税となります。

死亡保険金を受け取る時点で親族なので、最低でも3600万円の非課税枠が使えます。
通常ならこの非課税枠に他の相続財産も加えるのですが、相続放棄している場合受け取れるのは死亡保険金のみです。
つまり3600万円以内の死亡保険金は非課税ということです。

死亡保険金の平均額は最も多い30代〜50代でも3500万以下です。
また日本人で相続税がかかる人は8%なので、相続税はほとんどの人はかかりません。

●まとめ

相続放棄と死亡保険金の税金について解説しました。

債務整理の手続き途中でも、万一の際にはどうしたら良いか知っておくことで不安を解消することができます。
ぜひ参考にしてください。

・相続放棄することで借金を背負うことはなくなるが、プラスの財産も受け取れなくなる
・賃貸の場合は再契約、持ち家の場合は限定承認で先買権を行使できれば残せる
・相続放棄しても死亡保険金は受け取れるが3600万以内なら非課税

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私の親のように、最後の砦である退職金に手をつけずに済むかもしれません。
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子供の教育費のためであっても、毎月の返済に終われて生活を切り詰めるのは辛いことです。高額の借金でなく、100万程度の借金でも個人再生は可能です。

借金の返済に悩んでいる方は一度相談してみてください。
これからの生活に、希望が見いだせるかもしれません。


こえふ
元保険屋でシングルマザー。最近はマスクの弊害を伝える漫画を書いてます。生活コストの減らし方、節約・投資・保険・ミニマリストなどお金に関するお得な情報を発信中。
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