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完全教祖マニュアルを読んだ感想

完全教祖マニュアルを読んだ感想

教祖になるためのマニュアルという体裁ですが、人を操り洗脳する具体的な方法が書かれています。宗教の成り立ちや目的などがわかりやすく解説されていて、新しい発見がたくさんあり面白かったです。

・宗教の本質は反社会性にある
・負け組を勝ち組に変えて幸せにするのが宗教
・人は義務があったほうが楽
・現状に不満のある人ほど洗脳されやすい
・権威に従うと選択を減らせる
・仏教には一般向けとエリート向けがある

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●教祖は人を幸せにする仕事

教祖の定義は簡単で、何か言う人とそれを信じる人がいれば教祖と信者になります。
教祖は人を幸せにする仕事です。

イエス→戒律により硬直化した社会を打破した
釈迦→輪廻転生によるカースト制度を打ち破った

日本人はなんとなく無信仰が普通ですが、これは明治政府が信仰の自由は認めつつも天皇だけ崇拝するのが普通という空気を作ったためです。

日本人は宗教アレルギーのため宗教に対して無知で耐性がありません。
耐性がないため、保険と同じで付け入る隙となります。

無信仰であっても夏の怪談や死後の世界など、なんとなく霊的なものは感じています。
この霊的な感じに名前をつけるのが宗教です。

●宗教の本質は反社会性にある

新興宗教とはその社会が抱える問題点に根差して発生します。キリストは徴税人や売春婦などの社会的弱者を救済し、神の祝福を与えました。当時は彼らを差別することが正しかったのです。

このように宗教の役割は社会に迎合することではなく、社会通念に逆らってでも正しいと思うことを主張することです。現在の不幸とは社会の提示する価値基準に照らして不幸であるということです。貧乏、恋人がいない、出世できないなどが典型です。

そこで、彼らに社会とは別の価値基準を与えます。お金がない方が幸せ、家族は修行の妨げになる、出世に意味はない、などです。

・社会の価値基準で幸せになれない人を見つける
・反社会的な基準を与えてその人を幸せにする

仏教も実は反社会的です。出家は社会との関係を断って閉じこもるため、生産性は全くなく、家族も捨てるためニート以下です。それでも出家に悪いイメージがないのは、伝統的仏教宗派の持つブランドイメージがあるためです。

社会的観点から見れば修行僧は私有財産を持たず、恋人も家族もいない負け組です。
ですが社会が提供する価値基準だけが全てではありません。

負け組を勝ち組に変えて幸せにするのが宗教です。

●大衆に迎合する

教えを簡略化することで、信者が増えやすくなります。大衆のほとんどが一般人で、難しい話に興味ないからです。釈迦も相手のレベルに合わせ、例え話でわかりやすく教えました。一般人に必要なのは極限まで簡略化された教えと、お手軽な現世利益です。

ヒトラーも「我が闘争」でこのように述べています。「どのようなプロパガンダも大衆に合わさねばならず、その知的水準は獲得すべき大衆の最低水準の人々が受け入れられるように合わさねばならない」

一方仏教は一般人には難しいエリート向けの宗教です。元々の仏教は論理的思考や修行により怒り・欲望・執着を取り去り完璧な人格となって輪廻転生の輪から外れようというもの。生きることは苦しみと考え、永遠に生きることは永遠に苦しむことと考えたためです。

これを一般人向けに簡略化したのが浄土宗で、怒りや欲望を完全に取り去れない凡人向けの教えです。南無阿弥陀仏と唱えると極楽浄土へ行けるので、現世で苦労したくない一般人でも気軽に信仰できます。

一般人が求めるのは悟りではなく健康でいたい、家族と仲良く暮らしたいという次元のものです。そのため必要なのは理屈ではなく、幸せになったという実感です。

●困ってない人を困らせる方法

不安を煽ることで人は救いを求めます。不安の最たるものは死ですが、若い時はリアルに考えません。そこで困ってない人を困らせる方法を考えました。私たちはアダムとイブがエデンの園で果物を食べた罪を引き継いでいると、生きてるだけで困ってることにしたのです。

そしていずれ訪れる老いや病気など、なんとなく受け止めていることを困っていることに変えます。このように不安を抱いていない人に対して「今まで気づいてなかったけど実は困ってる」と思わせます。

困ってない人を困らせるのは潜在恐怖の顕在化とも言えます。これは保険のニーズ喚起にも使われる手段です。現代においてこの手法で最も成功しているのがエコです。

キリスト教「そのまま生活してると死んだら地獄に落ちますよ」
エコ「そのまま生活してると将来地球に住めなくなりますよ」

●救済・規制・義務を与える

不安を煽ったらそれを解決して救済を与えます。神を信じれば天国に行ける、悟りを開けばOKなどです。そして規制や義務を与えて他者や日常からの差別化を図ります。

豚肉やお酒を禁止する食物規制もその一つです。それ自体に理由があるかよりも、同じルールを共有して信仰や教団内の団結を強めたり、非日常を味わうことで他者との差別化を図ることが目的です。

周りがお酒を飲んでる時に自分だけ飲まない、皆がご飯食べてる時も自分は断食してるなど、霊的なものよりも身近な事例で自分の信仰を確認することが多いためです。

●義務があった方が幸せになれる

人間は義務がないと不安になります。無条件で救われるのは不安だからです。「〜すれば救われる」の方が安心するので、あえて義務を与えた方が幸せになれます。

浄土真宗は心の中で南無阿弥陀仏を一回唱えるだけで極楽に行けますが、一回唱えただけで安心できる人は少ないです。一方、義務がある方が幸せになりやすいです。

豚肉を食べず、断食し、貧乏人にもたくさん寄付をする人は、言いつけをちゃんと守ってるから天国に行けるという気持ちになれます。そのため浄土真宗でもたくさん寄付しなきゃだめと言い出した人がいました。一回唱えるだけでは幸せになれず、何か義務が欲しかったためです。

人は救われるための理由と具体的行動が欲しいんですね。感染予防にマスクと全く同じ構図です。

●権威に従うと選択を減らせる

人は一度信頼した人の話なら素直に聞きます。権威に従うことを学びながら育つのが人間で、人は常にその場における権威を見定め服従しながら成長するからです。親・学校・上司に従った方が安全に成長できるし良いポジションを得やすく、これが社会に適応するということです。

世の中には無数の選択肢があり、たくさんの食べ物の中から体に良い食べ物を選ぶのも権威の情報を元にしています。選択の基準を与えるのが権威です。従う権威を決めるのは自分で、そこに本人の意思があれば反発せずに従います。

信仰を持って良かったことを聞くと、「しっかりとした価値観が持てるようになった」
「自分の中に一本筋が通ったから迷うことがなくなった」と答えます。

自分で考えることが減ったからすごく楽だということです。選択を減らすのはミニマリストの考え方にも繋がりますね。
ミニマリストな我が家の必要最低限を公開

考えることが減ると、ストレスから解放され幸せになれるということです。

●社会的弱者は布教しやすい

病人や老人などの社会的弱者は布教しやすいです。現状に不満を抱いている人ほど救いを求めるからです。現代であればワープア、ニート、派遣社員などで、女・病人・障害者・子供はいつの時代も布教しやすいです。

社会のシステムや価値観から外れた人たちに、現行の社会は絶対ではないという違う価値観を与えて幸せにします。

低所得者が幸せになるには、お金がなければ幸せでないという価値観を捨てることです。
価値観を手放すにはお金を捨てれば良く、お金は大した価値はない、お金はないけど幸せ、となるそうです。私にとっては難易度高いですが、そう信じる人はその人の幸せがあるのですね。

また弱っていることに意味づけをすることで不幸を受け入れ幸せになれます。神が試練を与えているなど、不幸に説明をつけるのです。

●仏教には一般向けとエリート向けがある

不幸に説明をつけるのとは逆に、不幸を考え方一つでどうにかしようとするのが仏教です。

生きてれば病気にもなるし死ぬのは当たり前と、簡単な解決策は与えません。恐怖を普通のこととして受け入れる、難易度の高い宗教と言えます。

仏教には一般向けとエリート向けがあり、死ぬのも老いるのも普通のことで、普通のことを怖がっても仕方がないという考え方がエリート向け。人間として当たり前の弱さや恐怖や不安を受け止めきれず、苦しむ人にお手軽な救いを与えるのが一般向けの宗教です。

●金持ちを狙う

社会的弱者ばかりでは教団は潤わないので、金持ちも狙います。

ポイントは金持ちでも死ぬのは怖いということです。始皇帝も中国統一後、不老不死を求めて霊薬を探しました。

国王などの金持ちが宗教にハマるのは統一までにたくさん人を殺しているので死ぬのが怖いからです。今まで修行はしてないので手っ取り早く救われるにはお金を払うしかありません。

権力者が寺院を立てるのは個人的な功徳を積もうと考えたためです。現代においても金持ちや権力者は綺麗事だけでなれるものではなく、死を自覚した時にかつての自分の行いを思い出し怖くなります。

そんなお金持ちに、お金を払わせるにより心の平安を与えるのが宗教です。寄付をすればするほど安心感を得られるので、どんどんお金を払ってくれます。

幸せになれるお金の使い方として寄付が紹介されることはよくありますが、このためなんですね。死ぬのが怖くない人は宗教にはハマらないとも言えます。

元々の仏教は死を当たり前のこととして受け入れ、普通のことを怖がっても仕方がないという考え方です。しかし自分の弱さを受け入れることができずに苦しむ人向けに作られたのが一般向けの仏教。

どちらの仏教が向いているかで、お金をたくさん払うかどうかが分かれるということですね。興味深いです。

●まとめ

完全教祖マニュアルを読んだ感想でした。

・宗教の本質は反社会性にある
・負け組を勝ち組に変えて幸せにするのが宗教
・人は義務があったほうが楽
・現状に不満のある人ほど洗脳されやすい
・権威に従うと選択を減らせる
・仏教には一般向けとエリート向けがある

よくマスク信者という言葉を聞きますが、この本を読むとそれが本当によくわかります。
何が幸せかは人それぞれですが、人に強制することのない社会を取り戻したいものです。

・困ってない人を困らせる→無症状でも感染する
・義務があった方が幸せになれる→マスクを付ければ安心
・権威に従うと選択を減らせる→何も考えずテレビや政府の言ってることに従うのは楽
・負け組を勝ち組に変えて幸せにするのが宗教→ステイホームで引きこもりやニートが歓迎されるようになった
・現状に不満のある人ほど洗脳されやすい→会社や学校を休めて保障ももらえるからもっと自粛しろになる

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こえふ
元保険屋でシングルマザー。最近はマスクの弊害を伝える漫画を書いてます。生活コストの減らし方、節約・投資・保険・ミニマリストなどお金に関するお得な情報を発信中。
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